【おすすめミステリ】出版禁止2 死刑囚の歌

長江俊和先生著

出版禁止 死刑囚の歌を読みました

https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/B07N2RGZM2/ref=cm_cr_arp_mb_bdcrb_top?ie=UTF8

 

※テレビ番組、放送禁止1のネタバレを含みます。ご注意下さい。

 

私は中学生の頃から放送作家の長江先生が作成したフジテレビ系列の番組、「放送禁止」の大ファンです。

この番組はドキュメンタリー風のフィクション作品、所謂モキュメンタリー作品であります。

取材した内容に写してはまずいものが映り込んでいたため放送禁止となったVTRという設定で、深夜のフジテレビ系列で突発的に9作ほど放送されました。(モキュメンタリーなんて知らなかった人達が番組を途中から見て「これヤバいだろ!とクレームが殺到したらしい」)

例えば楽しい大家族モノの取材の端々に、行き過ぎた父親の『しつけ』が映っており、父親以外の家族は全員怯えています。長男は野球選手を目指しており毎日素振りを、長女は薬学を専攻していて何やらお父さんの食事にだけ隠し味の白い粉を入れています。父親は取材最終日に忽然と失踪。1ヶ月後、父親の失踪を乗り越え父親がいた時には一度も見たことの無いような笑顔で過ごす大家族の姿が!という内容で終わります。さて、なぜお父さんは失踪してしまったのでしょう...不思議ですねえ...


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このようなブラックな謎解きが楽しい番組です。『意味怖』系のコピペなどが好きな人には是非おすすめしたい!お近くのレンタルショップで取り扱ってると思います。おすすめは放送禁止4恐怖の隣人トラブルという作品です。

 

んで、やっと本題なのですが長江先生は近年何冊か本を出版されております。

その中でも出版禁止という作品は、前述した放送禁止の小説版、最後まで読んだ時と真相にたどり着いた時で内容がまるっと変わってしまうあの底冷えする感覚とアハ体験を共存させたミステリ小説です。

ただし、1作目の出版禁止はうーんといった感じ。僕向きでは無い内容でした。まあでもテイストは長江作品でしたので損はしないかなというような正直微妙なところ。

今回読んだ2作目はテレビ番組も含め長江作品全て体験済みの自分が自信を持っておすすめできる素晴らしい作品だと感じました。

巧妙な伏線の張り方、その回収の手法、そして切なさを兼ね備えた本当の意図、長江作品特有のガバガバヒントも今回は最後までわかりませんでした。最終ヒントではっとなり、裏紙を真っ黒くして全て溶けた時の感動は声が出そうになりましたし、ヒントひとつ明かされる度にページを戻り矛盾点をみつけて1つずつ答えを見つけていくのは快感でした。

長江先生の作品は人の残酷さや異常さにスポットを当てた作品が多いのですが、この作品はそれだけではない満足感が読了後に味わえたのも先生の新しい魅力を発見出来て良かったという気持ちもありました。

 

Kindreでも読めるようですので、面白いミステリ読みたいな~という方は是非お試し下さい。ハードカバーですがそこまで文量は多くないと思います。

ですがお手軽なテレビ番組の放送禁止を見て波長が会ったらというのもアリかなと思います。知る人ぞ知るマイナー作品という域を出ない作品なので何卒何卒一度体験していただきたい。