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神ホラー映画『ドールハウス』 感想

ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』などを手掛ける矢口史靖監督の『ドールハウス』。6月13日に公開しましたが、この映画とにかく評判が良いのです。
6月24日時点でのfilmworksでは☆4.1 / 5と非常に高い数値を維持しており、ホラージャンルで4を超えるのは見たことがありません(ちなみに『サユリ』が3.8、『来る』が3.0くらい)。

遅ればせながら見に行ったのですが、とにかく飽きさせない工夫が随所にあり、そしてちゃんと怖いという凄まじい面白さで、大いに楽しむことができました。邦画ホラーだと『仄暗い水の底から』『ノロイ』『来る』などが好きなのですが、これらの名作に並ぶほどの面白さだと言えます!

前の席にぺちゃくちゃお喋りしながら見てるバカ男女が居たのですが、20分ほどで黙って映画に集中し始めたのも映画の力を感じました。ちょっと興奮しています。

(続きではネタバレに伏字をしていますが、序盤のあらすじを説明しております。ご注意ください)


(画像:プレスリリースより)


ストーリーは誰もが予想できる、非常にわかりやすい構成です。


「最愛の娘を失ったショックでふさぎ込んだ主人公(長澤まさみさん)が、骨董市で見つけた日本人形に娘・メイの面影を感じ、溺愛することで傷を癒していく。しかし、それも治療や新しい娘の誕生により不要となり、人形もまた不要に……」という非常にわかりやすい導入。
そして、その後に起こることもだいたい予想が当たるようなわかりやすい進行なのですが、とにかくこの映画はメインの「呪いの人形」の呪いパワーがすさまじく、こいつが引き起こすサービス精神旺盛なホラーイベントによって楽しさがモリモリに演出されていました。


子どもいるホラーなら欠かせない「幼稚園で書いた絵がめっちゃ怖い」「知らないはずの情報を“人形が喋っていた”と子どもから伝えられる」など和洋折衷のテンプレホラーイベントはもちろん、「牛乳をヨーグルトにする(たぶん腐敗なんだろうけど)」などの意味がわからない嫌がらせもこなしてくれます。


人形が怖い事をする⇒主人公たちが何とかしようとする⇒人形の呪いパワーの強さで全て裏目に⇒人形が怖い事もしくは面白い事をする というルーチンで進行するストーリーは、予想ができるのに、少しだけ上を行く怖さや演出がありました。「予想ができるのに、楽しい」という結構すごいことををさらりとやっていて、一切飽きさせません。
多少母親が頭の固さを見せるシーンもありますが、往年の家族ホラーと比べると簡潔に済ませてくれるのも、家庭内不和シーンが苦手な自分にはありがたく、人間同士のいざこざや足の引っ張り合いも最低限で、ただただ人形の面白嫌がらせを豪華に、そして怖く演出する正々堂々さが楽しい作品です。


ジャンプスケアが1か所だけあるのですが、怖さの演出としてジャンプスケアがあるというわけではなく、「ホラーなら一回くらいジャンプスケアをやらないと」という義務感に迫られたような理由に感じました。上記のテンプレホラーサービスの一環として一回だけやっておこうみたいな。「地球のどこかにジャンプスケアが好きな変人が1人、2人くらいはいるはずなので、その人にも楽しんでもらいたい。来た人全員に楽しんでほしい」という願いにも似たサービス精神が感じられるんですよね。なので苦手な人も我慢できるのではないかな…! と思いました。

※苦手な人のためにこの場所だけ言うと、「開始45分くらいでかくれんぼをしようと提案され、洗濯機を覗き込む」シーンなので、ここだけ目と耳を塞いでおくといいです。

もちろん、強い霊能者が現れたり、人形の由来に迫るミステリー的な展開も丁寧です。怪異に納得感がある……というほどではありませんが、理不尽過ぎない良いバランス感覚も凄いなと思います。

見たことの無いものを見たい! という人にはあまりおすすめできない内容なのかもしれませんが、「ホラー」を楽しみたいと思っている人には間違いなくおすすめできる素敵な映画でした。

余談ですが、そんな内容なのに、この映画は「ドールミステリー」とされているのがホラー好きの間で話題になっていました。(上で貼ったリリースポスターにも、「ホラー」という単語が一切無いのです)
「ホラー」と掲載した時点で遠ざかる客がいるのではないか、というマーケティングの戦略には、少なからずホラー映画を勧めたときに遠慮された経験がある以上納得がいきます。
一方で、ここまで往年のホラーを愛し、バカ殿やドリフのようなテンプレを堂々と、面白くやってのける映画でそれをやらざるを得ない「ホラー」というジャンルを、もっともっと応援したいなと強く思いました。