女神の継承 感想

映画『女神の継承』(R18+)予告編【2022年7月29日公開】 - YouTube


映画館で見に行こう見に行こうと思ってたのに結局行けずじまいだった作品がU-NEXTで配信来たから見たけどとてもよかった。

今年のホラーというか映画は呪詛がとても面白かったが、この女神の継承も及ばないまでも好みだった。
フォロワーの感想で「犬がかわいそうなので覚悟してね」というのを見ていたので覚悟して臨んだが、思ってたよりもキツくてうわ~ってなった。ここで映画館を出る人が居てもおかしくないレベル。一瞬のシーンだけどそこだけ注意を。

田舎の信仰というテーマがそもそも大好き

呪詛のようなめちゃくちゃな最悪宗教とも違う、タイという国の宗教観を薄く広げたようなその密教は、考え方自体がアニミズムと似ているので日本人ならすぐ入り込める世界観だろう。恐ろしい事は悪霊が運んできていて、非業の死により悪霊は生まれる。動物や虫でもそれは同列であり、だからこそ人は善行を積み不要な殺生は避けるべきであるという何の変哲もない良い教えだ。
主人公の巫女は「依り代」というそれを一歩踏み超えた存在ではあるが、普通の人と同等の暮らしを送り、拝まれればそれに相当する祈祷を恵んで重宝されているという設定がユニークで面白い。
土着信仰でありがちな、「損な役回り」を血が継承していくという残酷なテーマと、それをただただ土足で踏み越えていくジャーナリズムの醜悪さにより物事が悪いほうに悪いほうに転がっていくのはお約束ではあるが、呪詛と同じようにお約束とわかっていながらもそれに真っ向勝負で挑んでいるアツい作品である。こんなスッと頭に入ってくるような使い古された設定なのに、2021年の映画というのを強く感じる素晴らしい出来だった。

やっぱり田舎のお土産みたいな変な像とかチンチンのご神体とか宗教画とか階段を昇る牛とか糸で作られた工芸品とかがひしめき合っているのは現実と地続きなのに”フィクションならでは”な感じが強くて、そういうの大好きな自分にはたまらなかったなあ。

話が難しい

表面的には除霊出来るのか出来ないのかを「来る」のような激熱除霊準備のような臨場感や、ちゃんとしたジャンプスケアで驚かせてくれながら飽きさせないように見せてくれる映画だが、根幹の設定は徹底的に隠匿されていて、視聴者を混乱させようとする思惑も同時に感じられる。
思わずどうなったの?なんで?と言いたくなるようなシーンが終盤は多く、大オチによってある程度それが補完される作りにはうならされた。
水面下で一本道ではない複雑な思惑が交錯しているのかしていないのかどっちないんだいって感じで、それも納得できるかどうか。みたいなのを友達と議論したくなる面白さなのが好みだった。
それも表面がちゃんとしてるからこそ、裏側はどうなっているんだろうって知りたくなるのが良いよね。自分の解釈は以下リンクにて。

最後めちゃくちゃになる

最後めちゃくちゃになる映画が好きなので最高でした。
顔を背けたくなるシーンが多い映画ですがそれを含めて丁寧に作っているのでオススメです。