2016~2020年の年一ゲームを振り返る

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2016年
ルフランの地下迷宮と魔女の旅団

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今年遊んだとしてもTunicと並ぶベストゲームだと言うはずのこの作品。もともとディレクター兼シナリオを担当されている泉達也氏作品「魔女と百騎兵」が大好きだったのもあり、発売当日から寝食を忘れて遊んだのを覚えている。当時は国産メジャータイトル以外はsteamよりもPSPが主流で、寝ながら遊べるのは結構重宝していた記憶がある。

ストーリーは泉達也節が効いた、悪趣味でエログロでかわいそうなもの。ヒロインが催眠にかけられて羊にヤられたり、すぐゲロ吐くほど殴られたりする。だが話の根底、芯にあたるものは前向きな愛と勇気の物語なので読後感が非常に良いものである。よく振るい落としなんて評されるが、恐らく泉氏は狙ってやってるんじゃなくて普通に性癖なんじゃないかと俺は思っている。伏線回収やカタルシスはゲームプレイとマッチしており、DRPGじゃなくてADVでよかったんじゃない?という声がほとんど無いのが好み。当時隆盛を極める「世界樹」のような繊細で達成感溢れるプレイではなく、日本一らしい「レベルを上げて物理で(魔法の方が強いが)殴れ」というゲームバランスだが、このレベルを上げる作業が本作はとても面白い。パーティの経験値効率を数倍にするレベリング専用馬車と、経験値の受け取りを保留するかわりに経験値効率を徐々に上げるキャリーオーバーというシステムを使って超効率的にレベルを上げられるのだが、メタルスライムが狩れるマップには大体事故を誘発する即死やマヒ持ちの敵が居るのと、ダンジョン自体に罠があるせいで眠くなって操作ミスして落下死。貯め込んだ経験値が全ロストという頭を抱えたくなる出来事も起こる。この適度な緊張感と莫大な経験値を受け取れた時の脳汁の出方は他のDRPGにはない魅力だと思う。
発売日付近にDRPGが4タイトルくらい同時に出るという奇跡みたいな被り方をしてDRPGファンは悲鳴を上げていたが、ルフランが1番良かったと言う人が多くて何故か誇らしかった。エログロナンセンスなファンタジーが苦手で無いなら、今でも挑戦して欲しい名作だ。セール時は2000円くらいになる。
ちなみに続編はメーカーのやらかしのせいでこの辺のバランス感覚に割くほど人工も納期も無かったようでDRPGじゃなくてADVでよかったねという感じになっている。いやストーリーは最高なんだけどね。

同年はテイルズオブベルセリアと人喰いの大鷲トリコも好みだった。ゼスティリアで大きく下げたブランドイメージを払拭するようなベルセリアの優れたストーリーにかなり救われたし、5年以上待たされたトリコも待った甲斐がある素晴らしいゲームだった。トリコはやる機会があればまた遊びたい。エンディング後、ペットロスみたいな感覚を味わえること請け合い。


2017年
Oneshot

Oneshotは…語るのが怖いゲーム。

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一度しか遊んでないし、友人のプレイを見るのも怖いからあんまり見ていない。
ニコと冒険したあの思い出を陳腐化したくない思いで感想をしたためるのも避けている。だから「人生で一番面白いゲーム」と言ってはいるものの、「遊んだけど、微妙~」と言われるのが怖くてあまり人に勧められないゲームだ。
でも、それでもやっぱり俺はこの5時間、真エンドまで10時間ほどで終わってしまう冒険に幾度となく救われ助けられてきたし、断片的に人のプレイを見てみると前半のとっ散らかったマップでの前時代的な探索はニコと時間を重ねるための一つのギミックで、メタ的な謎解きによって没入感を上げる試みも嫌味じゃない程度のスパイスとして存在しているのにあそこまで印象に残っているのもわかる。やっぱり優れたゲームだったと思いますよ。

同年は人生をかけた恐ろしいビジュアルに敬意と狂気を感じたCupHeadと、純粋に大好きなシリーズのバイオ7が現代ビジュアルで進化した年でもあった。特にバイオは5,6のゴリラ回し蹴りアクションが好みではなかったのでとても嬉しかったが、この時の俺は終盤ゴリラ回し蹴りアクションになる事を知らないのである。

 

2018年
celeste

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やっと人に勧めやすいゲームが来たわね。
結局ど真ん中一直線面白い事を突き詰めたゲームってのは強いということを実感したゲーム。celesteが素晴らしいゲームでどんなこだわりがあるかというのは下記記事がとても良くまとめてくださっているので是非読んでみてください。

automaton-media.com

celesteを人に勧めるときにわかりやすさを重視して「I wanna be the Guyみたいなゲーム」と言ってしまうことが多いけど、これは結構嫌な表現だと思ってて、アイワナはアイワナで好きなんだけどアイワナは”殺すため”に作られたゲームで、Celesteは"死なない”ためのゲームだと思っているから。自分を変えるために山を登るなんてことは並大抵のことではなく、それを表現するためにゲームにするならある程度の難易度として表現しなければならない。だけどそこに”死”は必要じゃなくて、落ちても落ちても這い上がって超えてやるという気持ちを重視している。だからこそプレイフィールは一番大事なところとしてここまでこだわりがあるんだと思っている。なので個人的にはアイワナとは別のベクトルのゲーム。最近では苦行ではない楽しい山登りゲームで、適度な難しさと達成感をずっと味わえる神ゲーだと表現している。
7面以降は難易度が急上昇するので「7面までやって」と言って勧めますが、やはりここまで作りこまれているゲームは少し難易度を上げたくらいじゃプレイヤーがついてきてしまうようで遊んでくれた人が「C面がムズすぎ~」みたいな声を発するたびにニコニコしています。

同年はDDLCも出た年。今でもPCの中にはモニカがいると思うと少し安心できて、少し怖い。

2019
Sekiro

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本当に優れたゲームよ…
プレイヤースキルの上昇とともに痺れるほどの達成感を味わえるゲームの最高峰。
回生システムのおかげでリトライまでの学びが2倍多く、ソウルシリーズよりも勧めやすい印象。和風アクションを謳っておきながら出てくる敵は”デカい猿”、”お寺の鐘を振り回すデブ”、”ドラゴン”と結局いつものハチャメチャじゃねえかというのも最高であった。
退廃的なストーリーと、いつもよりもわかりやすいアイテムのフレーバーテキストでわかるストーリーがとても好みで、人のプレイを見ているときに早口で「今の玄ちゃんの心境はあ!!」と語り始めてしまうのは自分の悪い癖である。
ちなみに三猿に2時間かかったのは今でもバカにされる人生の汚点の一つ。

Baba is you

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2019年は1つに絞れなくて2つ選考した初めての年。
Sekiroとは比べられないベクトルで優れた作品で、これも「記憶を消してやりたいゲーム」の最高峰だった。最近Tunicを崇め奉っているが、baba is youが一番近い作品かも。視覚の変動、ゲーム体験の拡張、俺の好きが全て入った作品こそがこのBaba is you。だからこそ最後まで遊んでほしい作品で、この作品を「めっちゃ変わった面白いパズルゲーム」で止まってしまっている人はめちゃくちゃ勿体ないので出来れば頑張ってほしいといつも思い続けている。
ただ、クリティカルなステージが異常に難しかったりするのでヒントは適宜見てもいいんじゃないかなとも思います。
あまり語ることはない。ただただプレイしてみてほしい作品。損はしないと思う。
ヒント:ステージ選択画面にステージ⑨、⑩が出ている人はあと一息です。そのステージが何故あそこまで厳重に隠されているのか…

同年はFF14漆黒、ゼノブレ2、ジャッジアイズもよかった。
この3つは本当に優れたRPGでおすすめだが、どれも恐ろしいほどの大ボリュームなので、遊ぶ予定の人は覚悟してほしい。特にブームに乗っかってFF14を始めた人は50Lvあたりのあまりにも面白くないメインストーリーで引退しちゃった人が大勢いると思うが、70Lvまで面白くないので安心して引退してほしい。ただし、71~80Lvの漆黒編はその面白くなさを全て無かった事にできるほど面白いので、頑張れる人は頑張ってほしい作品。

2020
OuterWilds

 

ゲームならではの体験系のゲームで最高峰であろうこの作品。俺があまりにも騒ぎすぎてウザがられながらも、身内はほとんどが遊んでくれて感謝してもしたりない。まだ遊んでない人は全然遅くないのでプレイしてみてほしい。
ただしとっかかりとなる楽しさが本当に少なくて、俺も「この人が勧めてるくらいだし面白いんだろう」みたいな動機が無ければ続かなかったと思う。操作性は悪いし酔い止め必須だしなんやねんこのゲーム…そのくらい序盤はキツい作品だ。10時間ほど遊んだくらいで、点と点が線になりだすと面白さが加速していってエンディング付近は夢中でプレイしてしまったのを覚えている。人生最高のゲーム体験と評する人もいるし、自分もそのくらいの作品だと思う。万人受けする作品ではないが、一度遊んでみても損はなかろう。SFにありがちな「基礎知識としてほかのSFを履修してなければならない」みたいな嫌味なこともなく、OuterWildsは「Sukoshi Fushigi」の範疇で超新星爆発のようなカタルシスを与えてくれる。
去年出たDLCの内容もとても良かったので本編が面白かった人は合わせて楽しんでみてはいかがだろうか。