2023年一番面白かった神ゲー『SANABI』 ネタバレ無し感想

度肝を抜かれる面白さ。

間違いなく、2023年で最も素晴らしいゲームだった。

 

とはいうものの、正直SANABIについてだらだらと語るようなことはしたくない。

ネタバレ厳禁というわけではなく(踏まずにやってほしいのはもちろんだが)、このゲームの素晴らしさを文章で表現するのは悔しいが自分の実力ではまず不可能だからだ。

旅先でふと見つけた聖域の美しさに見惚れたとき、すぐに写真を撮ってSNSにアップするのは品が無いというような感情もあるし、とにかく終わってから48時間は「何もしたくない」という感情が勝った。それほど面白く、衝撃的なゲームだった。(それでも、一人でもプレイヤーが増えれば……という思いから恥ずかしながらも筆を取った。できる限り簡潔に紹介する。)

映画的面白さがずっと続く素晴らしいストーリー

終盤は友人が見ている配信中にもかかわらずむせび泣いてしまい、私の鼻をすする音がひびく中エンドロールを迎えた。

このゲームはあまりにも演出がうまい。

カットシーンがとても多いゲームだが、そのカットシーンが演出のうまさでとても面白くなっているのは衝撃的だった。カットシーンなんてよほどのクライマックスでもなければ、さっさと次行かせてくれよと思う自分がずっと魅入ってしまうほど良い。キャラクターの細かい所作や効果音でこれでもかというほど楽しませてくれる。

もちろんストーリーも面白い。というか、ストーリーが抜群に面白い。とんでもない。

お話をこれでもかというほど細かいアニメーションで彩り、ただ見るだけではなくそれらを爽快感抜群のグラップル(というと語弊がありそう。同作は『進撃の巨人』の立体機動装置スパイダーマンのようにシュバシュバ動くワイヤーアクションで、そこにシビアさなどは全くない)アクションゲームとして体験させることで、主人公とプレイヤーが一体化し、ただでさえ優れた物語に勢いと感動を与えてくれているのが何よりも上手だ。

まるで2Dアクションゲームの大名作『Phenotopia』のありえないほど動くドット絵と『Celeste』のゲーム体験をストーリーと融合させた神業を足し合わせたようなよさがある。

それだけにとどまらず、古今東西ゲーム的表現のいいところを余すことなく取り入れたような隙の無さには膝を打ち、エンドロール後に「この体験を味わいたくてゲームをやっているんだ」と叫んでしまった。

現状ではローカライズが残念。だが些細なこと

唯一残念だった点として、現状ローカライズはかなり……いや製品として問題があるレベルでヤバい。ストーリーが逸脱することはない程度ではあるが、没入感を削いでいることは間違いないので、なるべく早く直してほしい。また、自分は気にならなかったがアクションの難易度はそこそこ高く、ストレスになるようなやり直しを迫られたと話すユーザーも多いので、難易度設定は控えめがおすすめだ。

プレイ時間は10時間程度。数々の名作ゲームが世に出た“乱世”のような2023年だったが、今年も迷うことなく1つの作品、「2023年は『SANABI』が最高だったよ!」と言えるようになったのがただただ嬉しい。趣味が合いそうな人はぜひプレイして、このゲームの疾走感を体中で体験してほしい。最高の体験として心に刻み込まれると約束する。

SANABI、それを忘れるな。