約8時間でクリアしました
バカタレ
終盤の体験が個人的にはかなり良かったので、後半はワンクッション置いて少しネタバレして書き残しておきます。
たいしたことでは無いですが、やる予定がある人は終わってから読んでいただくのを推奨します。
突如異世界の山に放り出されてしまった35歳無職を操り、山登りをさせられるゲーム『Baby Steps』をクリアしました。
“壺おじ”こと『Getting Over It with Bennett Foddy』の開発が関わっているとのことで、もちろん今作も苦行ゲーと呼ばれるジャンルの体験で二度とやりたくありません。
が、この手のゲームにしてはコンセプトが明確かつ、しっかりと難易度曲線が敷かれており、徐々にうまくなっていく感覚や意外とちゃんとしているストーリーのおかげで、普通にゲームをやり続けられるほどの質は用意されています。
ある程度のブラックジョークに耐える自信と根気があれば、そこそこ楽しい10時間ほどの体験になるのではないでしょうか。
!!この先ちょっとネタバレ!!
とにかく序盤は自分と主人公が重なり辛かったです。引きこもりでもないし働いてもいますが、他人との話し方が凄く似ているんです。
特に自分は電話が苦手で、とにかく相手との会話を早く終わらせたく、欲しいものも欲しいと言えず、聞いておかなければいけないものも先延ばしにしたりします。
「登山靴をあげるよ」「トイレ貸してあげるよ」と言われているのに好意を受け入れない姿がまさにそうで、本当に嫌でした。
しかし、登山を通じて少しずつ自分の意見を言えるようになったり、現実に戻った時の姿を思い浮かべるシーンなどは、ゲーム中で何度叩き落されても這い上がる体験と噛み合い非常に感動的でした。
これは引きこもり男性版『Celeste』とも言える体験で、35歳の小汚いおじさんへの嫌悪感が最終的にここまで薄れ、共感できるとは……うれしい誤算でした。
最初は「歩くこともできねえおじさんゲラゲラw」と思っていたプレイヤーも、徐々に「こいつ体幹ヤバくない?」「つま先さえ固定できればこのデカい体いくらでも持ち上げられるの凄すぎだろ」とわからせられることになり、説教臭くなく主人公の良いところが判明していくのも狙ってやっているようなステージ設計かと思います。
こういったゲームとストーリーとの噛み合い方は好みの作風だったので遊んで良かったと思いますし、非常に読後感の良い作品でした。