平成で一番面白かったパチスロ

と言われれば、もちろん全パチンカスが声を揃えて上げるこの台

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アラジンA2である。(2015年2月爆誕)

20年前、アラジンAという台はパチスロ界に大量出玉と破産者・自殺者をもたらした。人々が熱狂したアラジンシリーズの最新作とあり、ホールは何十台も導入。
その粗悪な出来と無理ゲーによって見事に次の週に稼働10%という驚異の数値を叩き出し、パチ屋史上でも稀にみる経済ショックを与えたこの台の魅力を今回は語る。
ちなみに自分の財布にも大打撃を与えた(-68万円)

何故この神台が誰にも愛されなかった(俺は愛してるぞ!)かと言うと、①時代の悪さ ②演出の出来の悪さ ③無理ゲー感と大別できる。

①時代の悪さ
当時、パチスロ業界は法の抜け穴を使って「いっぱい出て、いっぱい負ける」台が出せるようになり、客も店もパチスロサイコー!という時代だった。
最低設定でも1000円で数十万円勝ちという夢を見てジャンジャンお金を使ってくれるため、ほとんどの店で高設定を使うという文化が存在していなかった。というかむしろ全部最低設定でも客がつく台ばかりであった。ハーデスとか
アラジンA2の最低設定を打つという行為は、店への募金を意味するが、ホールはこれも同じように低設定で放置し続けたのである。客は面白いところを味わう前に、全員散って行ったのであった。

②演出の出来の悪さ
アラジンと魔法のランプについては、ディズニーやサンホラで履修したのみでそこまで詳しいわけでは無いのだが、意味不明な演出のオンパレードも客離れに拍車をかけた。

~人物紹介~
・アラジン
今作の主人公。釣りをしたり市場をブラブラしたり、相棒のラクダを賭け馬にして競馬を楽しんだり、大当たりするまでは隠居した下町のオッサンに近い行動が目立つ。
大当たり中は魔法の絨毯に乗って滑空したりとアラジンらしい行動が目立ち、アラジンを名乗る謎のオッサンという可能性は低いが、残念ながらパチスロ屈指の弱さを誇り、プレイヤーはボコられてる姿を何度も目にすることになる

・ローズ(姫?)
通常時はオッサンと共に行動し、ヤシの実の収穫を手伝ったり、買い物をしたりしているが、大当たり中はある1箇所でしか登場することは無い謎の多い人物。
基本的に出てきたらチャンスなのでポジティブなキャラクター

ジード(ランプの魔人)
この作品唯一の有能。出てきたらチャンス
そのためかほとんど出番がなく、アラジンと同行する姿を見ることはできない。
1%も期待できない場面で「アツくないか!?」と言うなど、自律神経はかなり壊れ気味

・ハミル(ラクダ)
ラクダ以上の扱いをされることはなく、ただただ荷物を運ばせられているが、「ンヒーw」という不愉快な鳴き声がただでさえ虚無な通常時を大いに寒々しくさせてくれる存在のため、同情の余地は無い。

・敵の皆さん
クソ有能ばかりで世界征服とか余裕そうだが、1人だけ恐ろしいほどの無能がいる。おそらく一番偉いやつの息子

ただ、ここまで読み進めてくれた人の中で疑問に思う人もいると思うのだが、
主人公は無能の極みであり、こんな人間が一国の皇女と結ばれ、ランプの魔人を手に入れ、悪い敵を倒すなんて事がありえるだろうか?
ただでさえ退屈なこの台と何時間も接していくうちに筆者は一つの仮説にたどり着いた。

パチスロというのそのゲームフロー上、通常時→なんやかんや→大当たり中という時系列で考えがちだが、全ては『逆』なのだ。
この台に限り大当たり中→通常時という時系列であると考えれば全ての辻妻があう。

ディスニー版では①王子様になり、②危機を救ってもらい、③ランプの魔人であるジーニーを自由にして友達になる。
という感動的なお話なのだが、パチスロのオッサンは
①王子様になり、②危機を救ってもらい、③ローズ姫という理想の女を願ったのである。

だからこの無能はだらだらと趣味を楽しみ、ローズという謎の女が無条件にアラジンを楽しませ、ランプの魔人はアラジンと同行する描写が無い。
所謂何も無かった俺がこのランプのおかげで全てを手に入れウハウハに!という魔法のランプのステマであり、おっさんの異世界転生サクセスストーリーということであれば全てに納得が行くのだ。

これは大金を夢見てパチ屋に足を運ぶ孤高の錬金術師にぴったりの夢のあるお話であるので、もっとこの設定を前面に出せば良かったんじゃないかなと、ここまで妄想を広げられるくらい通常時は虚無である。

一番大事な演出バランスは完全に崩壊しており、その壊れっぷりはバグなんじゃないかと思うレベル。
→後述する単チェリーというフラグ以外はほぼほぼ抽選されないゲームバランスなのに、一番煽るのは弱チャンス目と呼ばれる当選確率5%以下のフラグ
→単チェリーでしか抽選されないのに単チェリー引いても次のゲームから何も演出が起こらず外れる(単チェの次のゲームで何かしら起こらないとノーチャンス)
→連続演出中のチャンスアップっぽい演出は全てチャンスダウンになっていて、何も起こらない方がチャンス
などなど、語り尽くせないほどひどい。意味不明なだけならいいのだが、その全てが「当たるかも!」という方向であるため、プレイヤーはひたすらがっかりさせられて足が離れる。本当にテストプレイしたの?


③そもそも無理
ゲームフローは良くある形で、強い小役→チャンスゾーン→大当たりという順序で進むのだが、間違いなくアラジンA2は他の台では考えられないような恐ろしい点が散見される。詳しいゲームフローはこうだ

(1)連(弱)チェリーを引く
これは3000円くらい使ってオッサンの釣りを眺めていればそのうち来る。
たまに1万円くらい来ない時があってマジで心折れそうになる。頑張りどころ
この台、千円で28回転(ほんとか?)とコイン持ちも悪いため、ちょっとはずれ続けると一気に金が無くなる。
連チェリーを引くと(2)へ

(2)チェリ連モード(チャンスゾーン1)
チェリ連モードでは、かなりの高確率で連チェリーが登場する。
まずここで文句言いたいのだが、チェリ連とか連チェリーとか似たような用語が多すぎて頭悪いと思う。
また、この台で一番賛否分かれる(賛の人は筆者以外見たこと無いけど)部分、アンリミテッドリールシステムを採用していることによって、著しくイカサマ感を漂わせるのも一つの特徴。

※アンリミテッドリール
→サミーがドヤ顔で売り出して盛大にスベった斬新な筐体。
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一見左リールに見えるものは実は”演出用リール”であり、右下にある小さいのが本物の左リールになっている。
簡単に言うと、今までイカサマのやりようがなかった不可侵領域であるリールを、台の機嫌次第でめちゃくちゃに操作できるようにしたもの。
台の中の人が「中段チェリー出してあげようかな!」と思えば中段チェリーが登場する。

話をもどすと、チェリ連中はひたすら台のご機嫌を調整しながら、チェリーの出現を願う。
チェリーが出現すると、リール枠が青→黄→緑→赤と昇格していき、見事赤まで行くと、単チェリーと呼ばれる強いフラグを射止める事ができる。というゲーム性
ちなみに、「連チェリーが出ても色が昇格しないことがある」のと「緑まで行った瞬間チェリーが出なくなって終わる」ことが当たり前なので、常人はここで席を立つ。
この最中ももちろんコインはガンガン減っていく。

(3)単チェリー出現
おめでとう!単チェリーが出現しました!3回に1回は何も起こりません。
無事当選していれば、なんと30G間の無抽選ゾーンを経由して更なるチャンスゾーンに突入します。

(4)試練の塔~岩~(チャンスゾーン2)
最初の弱チェリーからここまで来るまで最短でも3000円かかります。
20Gもらえて、1/6くらいで出てくるチェリーの1/2を引ければ、(5)に進むことができます。

(5)試練の塔~氷~(チャンスゾーン3)
岩の余ったゲーム数+10Gもらえて、同じ事をします。
コインはどんどん減っていきます。

(6)試練の塔~炎~(チャンスゾーン4)
氷の余ったゲーム数+10Gもらえます。
だいたい1/8~1/10くらいで来る単チェリーを引ければ、50%でアラジンチャンスです!
もちろん単チェリーが来るかどうかはアンリミテッドリールの機嫌次第。

(7)アラジンチャンス通常ステージ(チャンスゾーン5)
おめでとうございます!一見して大当たりです!
だいたい3000円分くらいは戻ってくる事が確約されますが、試練の棟では2000円追加投資してることでしょう。
初期ゲーム50Gもらえて、その間になんか引けば次へ

(8)アラジンチャンス炎(チャンスゾーン6)
まだまだ続きます。

(9)アラジンチャンス闇(チャンスゾーン7)
とうとう闇までたどり着きました。
炎まででゲーム数を使い果たしているので、ほとんど残ってないと思いますが、頑張って1/8の弱チェリーを引きましょう

(10)アラジンチャンス闇チェリ連(チャンスゾーン8)
みんな大好きチェリ連状態です。
何回かチェリーを引いていれば単チェリーが出現します(1/26)が、
その間にゲーム数が無くなると何事も無かったかのように終わります。
この時は通常時では確定していた赤状態の単チェリーも約束されません。

ちなみに難しい話しますが、単チェリーは3枚役のこぼし目で出現するようになっているので、
出てきた瞬間に損してます。
(3枚役ナビを出現させず、アンリミテッドリールによってチェリーを出現させることで単チェになる)
大当たり中に一番強いフラグ出すために損しなきゃならないというチグハグさが凄い。

(11)対決演出
ボコボコにされるアラジン。たまに勝ちます。(単チェの50%)

(12)スーパーアラジンチャンス(チャンスゾーン9)
とうとうたどり着きましたね。上乗せ特化ゾーン風チャンスゾーンです。
これが最後のチャンスゾーンにして唯一の面白いところになります。
単チェリーが出れば継続というゲーム性で、50%→55%のように継続するたびに継続率が上がっていき、最終的に90%継続を目指します。
何度も申し訳ありませんがこちらアンリミテッドリールになっておりまして単チェリーが出るかどうかは気分次第となっております。
イヤァ~!タァ!ふんぬ~~~~プッシュだ!ヒダリリールグルグルグルグル~~~wwwwwwチェリードーン!!!!wwwwww継続!w

(13)スーパーアラジンチャンスMAX(大当たり)
やりました!大当たりです!
継続するたびに3000円くらいもらえる90%ループです。
3万円戻ってくるぜ!


という
「正気か!?」
というゲームフロー。書いてて思ったけどマジですげーわ

でも、実は直接アラジンチャンスに行けるフラグとか、闇までいかなくても単チェ来たり、ほかのフラグで当たったりとか、
別の裏口入学はあるにしろ、最低設定はほとんどの場合で上記のルートをたどる必要があり、普通に無理マジで無理。
とてもじゃないけどついていけず、客は離れたのであった。終わり。


ここまでこき下ろして、何故自分がこの台を愛しているか。
それは、自分が困難な道であればあるほど興奮するマゾスロッターであるから。
ここまで無理ゲーだとわかっていて、それで無理ゲーを通したときというのは計り知れないほど快感が押し寄せてくるので、
いつか来る大連荘を夢見て俺は走り続け、そして一度もうまい思いする事なく死んだのであった。(最高5000枚)

でも、この台高設定であれば非常に優秀なスペックであることは間違いなく(面白いとは言ってない)
客が飛んだのは無理筋な設計もあれど店が設定を使わなかったというところに尽きると思う。
頭のいい店は今でも高設定を混じらせながら稼働させてるわけで、現在でも500店舗以上残存している

負けたは負けたし、糞台であることは間違いないんだけど、
SAC中は神拳勝負みたいなゲーム性で引いたフラグ別で抽選されているってのわければ、特段デキレ感もないし、
何より効果音を含めた音楽が凄く良い。
パチンコ・パチスロって音が一番大事だとずっと思っていて、海物語とか必殺仕事人とか牙狼も大当たり中に
コンプレックスイマージュか甲賀忍法帖が爆音で流れれば神台と呼ばれると本気で思っています。

もうすぐこれも高射幸撤去のあおりを受けて撤去されます。
めちゃくちゃ恨みはあるけど、過ごした時間は長いのでちょっと寂しいというDV彼女みたいな心境でさよならしようかなと思っています。

なんで急にアラジンA2の話したかというと、今日3万負けたからです。