面白かった、感動した、熱いものがこみ上げてきた……いろいろな感情が押し寄せる『魔法少女ノ魔女裁判』(まのさば)をクリアしました。
クリアした今一番言いたいのは、こんなにも楽しい時間を、しかも異常なボリュームで味わわせてくれてありがとうという感謝の言葉です。
この記事では序盤ネタバレ無しでおすすめした後、ワンクッション置いてネタバレありで思い出をぶちまけて行こうと思います。
これをやらずにネタバレされてしまうのは本当にもったいないです。ネタバレありのパートは是非プレイ後にお読みください!
ちな、シェリーちゃん【推し】です
作品の引用について
作品PVを見てわかる通り、本作は推理ADVというより、ほぼ「ダンガンロンパライク」と言っていいほどダンガンロンパです。
事情もわからず連れてこられた13人の登場人物に動機が与えられ、殺人が起こり、それを推理する。各キャラクターには超常的な能力が与えられており、悪趣味な「犯人の処刑」が行われるところまで全く同じです。
違うのは集められたキャラは「魔女」の予備軍という設定で、だから全員が少女的な非常にかわいらしいビジュアルで彩られているところくらい……というのが第一印象でした。
非常に面倒くさい事を自覚して書いておきますが、自分はこういう「〇〇ライク」なゲームを見たときに、多少なりとも嫌悪感を持ってしまう方です。あんまり詳しく言いたくないですが、それってつまりパクリなんじゃないの?みたいな、長くならないように意図的に雑に書くとそんな気持ちがまだ多少あるんです。
しかし、中盤まで遊んだ自分はこう思いました。
「このゲームを作っている人は本当に推理ADVを愛していて、そして偉大な作品を超えてやるという熱量でこれを作ったんだな」と。
ただ過去作ネタを引用して愛を表現するのではなく、ダンロンのいいところ悪いところはどこなのか、それにこういったものを足したらもっと面白くなるのではないか。そんな遊び心や挑戦をふんだんに盛り込んでおり、「ダンロンライク」の一言で済むものでは決して無い作品です。
借り物のシステムであること自覚し、その印象すらも利用して作品を装飾しているシナリオは見事……いや、こんな冷静な感情ではありません。遊んでるときはただひたすらに「面白い」「面白い」「面白すぎるだろ」とだけ感じさせられ、制作者や作った環境のことなど知ったことではありませんでした。早く続きが読みたい、しかしながらこの時間が終わらないでほしい。そう思わせるほどの作品に本当に久々に出会った気がします。
推理(裁判)パートについて
推理に関してはシステムが非常に優しいのもあって難易度はかなり低めです。
そのあたりが推理ADV好きには物足りないような可能性はありますが、考えなくても解けるような問題が出題されるわけではなく、システムが非常に親切という意味で簡単です。
総当たりすれば誰でもクリアできるけど、普通に考えたい人は考えて遊ぶこともできるという良いバランスだったと思います。
繰り返しになりますが退屈するところは一切なく、逆転裁判やダンロンの最大の魅力「議論中に新たな事実が浮かび上がる」要素もてんこ盛りで、非常に満足感がありました。
推理パートが簡単な分、キャラクターの掘り下げや、世界観の魅力などに力を入れているゲームです。
なので、推理ADV好きよりも、サウンドノベル的な読み物としておすすめすべきなのかなとも感じます。
また、ダンロンや逆裁などではおなじみの裁判前に調べ物をするシーンはかなり簡略化されています。
キーとなる最低限の情報が与えられてすぐに裁判が始まる構成は、情報収集時の見落としで何度もマップを行き来したり、既に察しているところを念入りに説明される冗長さを感じさせられることもなく、非常に良いアレンジだなと思いました。
既に数人にこのゲームをおすすめしていますが、「一生ダンロンの裁判パートやらせてくれるダンロン」と紹介していて、30時間中20時間以上は裁判をやらせてくれたような気がします。やっぱあそこが面白いんですよね推理ゲームって。ずっと脳がフル回転する楽しさを大盛りで味わわせてくれるのは最高でした。
正直凄すぎてあまり言葉で語りたくない
ネタバレ無しで言えることってこのくらいです!!
スチルを額縁に入れた公式グッズ(4万4000円)を買おうか迷うくらいイラストがすさまじかったり、もうやればわかるので書く必要もありませんが、キャラクターの魅力がすさまじかったりと褒めたいポイントはたくさんあるのですが、これは本気で作中で味わってほしいです。
多くの人が語るように「ネタバレ無し」で遊ぶのを強くおすすめします。
※※※ここから先ネタバレです!!!!!!!!!!!!!!
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本当に好き勝手語りたいだけなので、文体を崩させていただきますね。
いや~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
凄すぎない?このゲーム……。
シナリオの完成度がイカれてるとしか思えない。13人という非常に多い人数を描いているのに、一切無駄がなく、全員に魅力がある。
エマ・ヒロを除くとシェリー、ハンナ、メルル、ノア、ココなど多少出番の多いキャラはいるけど、かなり出番のないアンアン、ミリアなども最終的にはめちゃくちゃ好きになってしまった。
魅せ方も良かったけど、キャラの性格というか、立ち位置みたいなの意識されていて、それが二転三転するのも唖然とした。
例えばナノカなんか、この見た目で徹底的なポンコツとして描かれていて、1週目はそれがギャグっぽいものとして消化していたけど、2週目でナノカがお姉ちゃんのためにめちゃくちゃ無理をしていたことがわかると、そのポンコツさが非常に愛らしくなってしまう。
ノアは常に嘘をついているから嘘を見破れたのかなあ。本来すぐ死んでしまうから深堀できないキャラクターもしっかりと活かしてあげるのは画期的で唸らされた。
これはシェリーもそう、ハンナもそう。クリア後にやる1週目は、初見の感情とはまた違ったものになるのではないかと思う。

シェリー好きすぎる
シェリーの境遇は能力的に察していたのもあって、「空気が読めないけど有能」という超便利な進行役として好きだった。
ハンナも大好きな属性(偽お嬢様)なので二人がくっつくのも楽しく見ていたんだけど、これもクリア後にはまた印象が変わってくる。
シェリーがハンナにくっつくのは、彼女が人一倍痛みを感じている、自分を責めているキャラクターだからなんじゃないかと結びついた時かなり感動したり、こういう作中では語られないものを、キャラクターの設定や過去によって結びつけるバランスが上手すぎないかと思った。そしてあっているかはさておき、プレイヤーにそこを委ねている、考えさせているのがうれしかった。
ダンガンロンパライクとしての自覚
キャタツネタとかの表面的な愛もあったけど、

最終版にほぼ無理筋に近い、縋るような解決方法を「希望」と表現したり、
ユキを裁判に持ち込むセリフが「異議あり!」だったり、
最高の、ここが一番良いと思うタイミングでオマージュするのが本当に痺れた。
これが愛じゃなくてなんなのかと思わされたので、〇〇ライクあんまりな~みたいな感情も完全に消えました。
ダブスタじゃない? と言われそうだけど、ごめん俺このゲーム好きになっちゃったからさ。好きだから、許しちゃった。
ココがあてぃしを巻き込んでくるの、うれしいよね
いやもうこれだけなんだけど。
ココの能力、かなり弱いよな~からの、こいつ最強じゃない? という瞬間。2週目のフックになっていてワクワクが凄かったけど、結局ココがかなり慎重な動きをするせいでうまく活かされなかった。
それが3週目でさらに大爆発するのうれしすぎる。あれはメタとしてはベタな感じだと思うけど(なんなら、パから始まるあの作品へのオマージュのような気もするけど)、俺は大好きだった。
短いけど好きだったことを表明したいだけ!
ココな~こういう不器用なキャラ好きなんだよな~。変な声もめっちゃ好きだったな。
「処刑」は1話、2話が一番良かった。
この作品に文句つけるところがほとんど無かったんだけど、処刑に関しては1話、2話が本当に良かった分、3話以降はちょっと薄れたと思った。
というのも、1話のレイアの処刑は本当に凄くて、ただ悪趣味に殺すためにあるのではなく、犯人の本心を引き出すために存在するというオチが本当に良かったから。2話も似た感じで、ただ悪趣味なだけじゃなく、(これはメルルの設定がわかるとより強く感じるけど)理由があったのが「これはダンロンよりいいじゃん」と思った。
3話くらいからその辺を裁判中にやっちゃうようになって、処刑はただの処刑だなになったのはちょっとあったけど、まあこれはメルルのネタ切れだったということにしておこう。
その後のノアのやつとかハンナのやつとか、驚きを作ってくれてよかったですね。本当に最後の最後まで観客を楽しませようとしてくれている作品だ。
冷静に考えて一番面白い推理ADVなんじゃないか?
いやわからん。正直Staffer Caseは10時間というクソ短い作品なのにバカみたいに面白いし、スーパーダンガンロンパは狛枝回が宇宙で最も面白い殺人事件だし、俺は大逆転裁判2がマジで好きだし、一番好きなのはたぶんゴーストトリックだから優劣はつけられないんだけど、本当にこいつらに並ぶとんでもない作品が急に出てきたという印象でめちゃくちゃびっくりした。
そしてクラファンにすごいたくさんの人が居て、自分のアンテナまだまだだなと反省もした。
でも、口コミでみんなが面白い!と言い続けですぐ触れたのは本当に良かったし、もし発信してくれた人がこれを読んでくれていたら本当に感謝したい。最高の30時間だった。
俺ダンロンのキャラはよくて数人好きになれるくらいで、「推しが死んでいく~!」みたいな悲鳴に共感できたことがあんまりないんだけど(アンジーくらい)、このゲームは序盤からむちゃくちゃ好きなキャラばかり死ぬし、なんならもっと好きな奴が犯人であることも多くて、毎回「やめてくれ~!」と叫びながら遊んでしまった。みんなこんな気持ちだったんだね……
それでいて最後はあんなに美しく終わっちゃってさ……うれしい!
とりとめないマジの乱文になっちゃったけど、真面目な話したくないほど面白かった。この作品が好き! というだけわかってもらえればOKです。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
次回作も楽しみですね……!