のすのゲーム感想ブログ

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OMORI 感想

長くてちゃんとRPGで重いけど、アーティスティックで細部まで作りこみがされた超ビッグタイトルという認識で間違いないです。Mother2今でも全然遊べちゃうぜ!って人には手放しでおすすめします。
以下内容に触れます。内容を書くところは反転して隠しますが全体的に注意です。

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OMORIは引きこもり、重り、お守り…

これでもかとOMORIに対し優しく描かれる精神世界と、過去に”何か"があって友達は離散し、自分は引きこもりになっている現実世界を行き来し、いろんなものを清算するRPG

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ハイパーノンデリカシー元気少年のケル、ケルの兄にして完璧超人優男のヒロ(ヒロが出来すぎた結果ケルがあんなになった可能性)、超絶かわいい暴力美少女オーブリー、いつでもどこでも頼れるお姉ちゃんマリ、かわいそうでかわいいバジル。クリア後、この仲間たち全員が愛おしく感じるとはゲーム序盤には思わなかった。
特にマリは現実世界に一切登場しないため、"OMORIの精神世界のマリ"というワンクッション置いたキャラクター性でしか知ることは出来ないが、バジルのアルバムによって誇張されてないお姉ちゃんであったことが推察できるのがあまりにも上手。恐らくあのマリは本当にマリだったんだろう。
グッドエンドこそが正史ではあるが、OMORIへの描写を最低限にすることで残虐性を秘めたバッドエンド群も説得力があってとてもよい。急に悪の力が覚醒して皆殺しみたいな感じではなく、今まで貯めこんだ不穏パワーを全開放することでああなってしまうのが丁寧だと思う。

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『おすすめできるの?』

おすすめできる。人を選ぶゲームであることは間違いないけど、ここ数年で1番面白いゲームだと断言する人がいても納得できるほど素晴らしい出来と多大な労力がかけられているゲームなのがプレイ中これでもかというほど伝わってくる点で唯一無二。

一応展開的にはホラーゲームというくくりで間違いないが、どちらかというと鬱ゲーであり、ホラー要素はおまけ程度なので注意。
ホラーではなく恐怖に打ち勝つ話であり、誰しもが持ち合わせるトラウマや恐怖感との対峙、克服という描写をここまで正々堂々と描いたゲームは今まで無かったのではなかろうか。だからホラーが苦手な人も頑張って遊んでみてほしい。でもびっくり系演出もそれなりに多いので苦手な人はマジ頑張って…

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このゲームは戦闘中も手書きのアニメーションがずっと動いていたり、イベントでもいちいち省エネとはいえアニメーションが挿入されたり、かといってドット絵は他のゲームに負けないほど奇麗でわかりやすい。
とにかくアーティスティックな手間という意味では世界一凄いと言っても過言ではないゲームなので、そういった部分に魅力を感じる人は絶対に遊んだほうがいいゲームでした。

『俺的には実際どうだったのか』

めちゃくちゃ面白かったし、Undertale以来の神ゲーって評価見てやったけど実際そうかもしれんと思うほどの出来ではあった。
ただ、クリアに30時間ほど要するRPG、それも戦闘のテンポが良かったり育成が面白いというわけではなく、ただこのゲームがRPGという媒体だったというだけのものに付き合うのが結構キツくて、仕事終わって風呂入って「ヨッシャー!!」って叫びながら全身ぶったたいてから始めないとレベリングとかイベントお使いやってるとき眠気がヤバかった。衰えである。爺はRPGできないとかいうわけわからん風潮に負けるわけにはいかないので本当に集中してやったけどその気はあるなと恐怖してしまった。
スキルが揃ってなくてただ通常攻撃と回復アイテム使うだけの最序盤と、急に敵強くなってレベリングが必要になるトロッコエリアの先は退屈すぎて死ぬかと思ったけど、そこ以外は新しいスキルどんどん取れて使ってみたり、やる気システムに意外と戦略性があったりでRPGとしても面白い。ただ、前述のとおりアーティスティックな戦闘シーンを阻害しないために戦闘速度やメッセージ速度を高速化できないので、本当にレベリングの行程がダルいのだけは最後までキツかった。

ストーリーは文句のつけようがないほどよかった。
ある程度不穏要素でプレイヤーに先を想定させつつ、しっかりとそれを裏切るような展開も用意して、きっちりとお話としてケリをつけている。自殺や鬱といったセンシティブなテーマを描き切る以上、メタ演出とかで茶化さないで真面目で真摯なつくりになっている事が何よりも良かった。
(ネタバレ反転)思い返してみると、サニーはあれだけ恐怖していたお姉ちゃんを模倣するような行動を至る所で取っているところが自分好みだった。特に池に落ちたバジルを救うために真っ先に飛び込むシーンは、自分がマリに助けられたシーンの対比になっていて、触れたくない自分の一番黒い部分に積極的に触れる努力をサニーがしている描写として後を引いた。
また、マリは皆の思い出で語られるだけで、OMORIの精神世界でのマリとしかプレイヤーは出会う事が出来ない。これはマリ本体ではなく、サニーが罪悪感から作り出した言わば都合の良いマリ、優しいお姉ちゃん像としてのマリでしかない。のだが、それが終盤バジルが撮ったマリの写真を見て、「ああ、本物のマリもちゃんとあのマリなんだね」とプレイヤーが納得できるのが美しく、感動した。「もう大丈夫だね」と埠頭の窓へ消えていくマリは本物(幽霊)のような気がしないでもないのがロマンチックで好き。
大切な人が死んだとき、俺はどうなるんだろう。ヒロのように悲しみの底に落ちていくのか、ケルのように明るさでそれを吹き飛ばしてしまうのか、オーブリーのようにそれを怒るのか、サニーのように無痛症として逃避するのか。この中でケルの明るさというのは残酷さや幼さを感じてしまう。だからこそ、自分はケルのように何事も無かったかのように代替品を作ってしまうんじゃないか。そんな悲しいことばっかり考えさせられるゲームなのに読後感がとても良い。良いゲームでしたね。

まあそんなわけでRPG苦手民には厳しいゲームではあるんですが、とっても良いゲームでパワー感じるんでRPGへの恐怖心に打ち勝つためにもOMORIはお勧めですよというお話でした。