台湾発、めっちゃ綺麗で手ブレがないモキュメンタリーホラー 『呪詛』が面白かった

やっぱりホラーっていいなあ…と思えるような作品でした。
どちらかというとホラーが好きな人向けで、あんまり耐性が無い人がみてしまうと嫌悪感とかが勝つのかなという印象です。でもこの映画で本当に怖がれる人というのはホラーの”お約束”を知らない人だよなあとも思いますのでよっしゃこの機会に呪われてみっか!という人は是非挑戦してみてください。
全体的に薄くネタバレしてるので見る予定の人は気を付けて。

ホラー慣れしてると開始3分で「あ~!今から俺のこと呪おうとしてるじゃん!」って嬉しくなっちゃう作品でした。その後も基本的にお約束に沿って進行していきます。
幸せそうな家庭で怪異が発生し、その原因は過去の主人公とアホな彼氏と更にアホアホな彼氏の友達にあり、いろんな方法で呪いを回避しようとするも関わる人全員が死んでいき(強そうな霊媒師が死ぬサービスシーンあり!)、最終的にめちゃくちゃになってしまう。
大きく外れないので怖さというよりも求めていたものがお出しされる安心感のほうが強く、展開が早いので退屈しない上に随所で美術さんの素晴らしい仕事が光るピカピカの作品でした。奇を衒わない分、予想通りすぎて退屈という感想も見受けられますが、ジャパニーズホラーとカルトホラーに映像美とセンスで真っ向から立ち向かった作品だと自分は思います。アツいです。

好きポイントその1 モキュなのに見やすい

白石くんの手ブレモキュメンタリーも大好きなんだけど、この映画はむちゃくちゃ気使って作られてます。焦るシーンなどはカメラを落とすような場面もありますが、基本的にはほぼ平行です。ハンドカメラで撮っている設定なのに一般的な映画で使われているようなトロッコ撮影だろって思うようなシーンばかりです。なので単純に疲れや画面酔いの心配なく、気持ち悪い映像をずっと見ていられるという点で2022年の映画だなあと思いました。
主人公が走るシーンや外のシーンはドラレコや監視カメラの映像を引用しているところも、日常と地続きで怖いことが起こっているようでとても良いですね。フェイクドキュメンタリーQ(ねとらぼさんで紹介記事書いたのでこっちもオススメです!)で色々な媒体の映像を使う事を誉めましたが、呪詛も似たような発想でびっくりした~今後一般的になる表現なのかもしれませんね。

 

好きポイントその2 密教へのリスペクトと恐怖

 

『呪詛』予告編 - Netflix - YouTube


カルトってのは、山奥にあって…気持ち悪い壁画があって…ヤギの頭を祭ってて…聡明そうなおばあの巫女と少女の巫女いて…その周りには不気味なおじいが沢山いて…変な儀式してて…
解釈一致すぎる。というか盛りすぎだろ。
そのくらいしないと扱えないような神様だったという話なんですが、とにかくこの辺の美術さんの仕事は素晴らしいものがありました。
主人公グループが祠にちんちん落書きするのも、絶対いくなっていわれている場所に「せっかくだし」みたいなクソ理由で行くのも嬉しすぎる。ファンサが上手すぎん?

でもサタニズム映画みたいな「カルトの連中はどんだけ気持ち悪く書いてもいい」みたいな感じじゃないのが好みです。邪教邪教だけどこの人たちは自分たちの信念に則って生活しているだけで、その生活は厳かで慎ましく、奇妙で神秘的なものとして描写されているのは素晴らしいと思いました。信仰は誰にでもあるもので想像によって世界は移ろい変わるという冒頭の言葉が全てですね。これはリスペクトですよ。

好きポイントその3 みんな死ぬ

見た人も死にます