オタクの顔が思い浮かぶから嫌いという感想が嫌い AI:ソムニウムファイルの感想

AI:ソムニウムファイルをクリアした。
(本筋ではないけどエンディングの話をするので遊ぶ予定があるならネタバレ注意)

「滑りまくるギャグ」「ジジイみたいな下ネタ」が5分置きに挿入される作風で、とにかくテンポが悪い。見栄みたいなシーンが異常な頻度で挿入され、回想シーンはそのシーンまるまるモノクロで読まされるので「それ1回読んだし覚えてるから一枚絵でよくない?」という感じ。ゲームは一日一時間のご家庭を想定してる?18禁なのに?丁寧すぎると言えばそれまでだが…

CERO Zになったからせっかくだし下ネタ盛り放題にする?みたいな感じ?

そんなわけでとてもじゃないが諸手を挙げて褒められる作品ではない。しかしEver17の打越先生がディレクションし筆を執っている作品というだけあり、風呂敷を広げるのが上手でとにかく先が気になる。スパチュンのCG班が良い仕事をしていて、細かくキャラが動くカットシーンは没入感を底上げしてくれていて、なんといっても終盤、怒涛の伏線回収で全く別な話をやっていたとしか思えなかった群像劇を一気に回収する手際の良さは見事と言うしかない。
下ネタはどうしようもないが、テンポの悪さに関してはCtrlキーで早送り機能がついているので、こちらでいかようにも調整出来る。重箱の隅を突こうとすればいくらでも突けるが、トータルすると普通に面白く遊んでよかったなという作品だった。

クライマックスシーンの後、1時間近いエピローグが存在する。
ここまでやってくれたプレイヤーならキャラクター全員好きになってるはずだし、付き合ってくれるだろう。とでも思ってんのだろうけど、お前それTIPSとかでやれよUndertaleですらエンディング前に全員と話すかどうか選べるぞと憤慨。しかし実際俺は主人公の”娘”みずきちゃんが大好きになっていたし、もう一人のヒロイン、ネットアイドルあせとんちゃんが大好きになっていたので、まんまと1時間付き合ってしまった。しかしながら生存している登場人物全員と話すまでエンドロールが流れないのは恐れ入った。解決!オチの一言!エンドロール!っていうのが最高にかっこいい展開だと愛してやまない自分には冗長すぎるほどだが、極めつけに踊るのである。

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マジで爆笑した。どこまで自信あったらここまで出来るんだよと、流石に突き抜けすぎて拍手してしまった。
Discordで配信していて、終盤から居合わせたあせとんちゃんにわかファンはこの展開に「寒すぎる」とかなりドン引きしていたが、俺は20時間以上こいつらと殺人現場で下ネタを言い合った仲なので凄く楽しいエンドロールだった。

下ネタや面白くないギャグに関しても、終わってみれば陰惨で残虐な殺人事件がメインとなる本筋において、少しでも暗くならないように配慮した結果だと好意的に解釈できる。滑ってたけど。

配信だけ見てたオタクは滑ってるギャグで「こういうのオタクがニチャついてる顔が思い浮かぶから嫌い」と言っていたが、あまり好きじゃない感想だ。いや、嫌いだ。〇すぞ。
脊髄反射だけで書ける小説なんて恐らく存在してなくて、ソムニウムに限らず”俺ツエー”な展開も、一見不要なギャグも、ファンサの延長線上にあると思っている。美味しく召し上がってほしいというオタクなりの心遣いなのだ。
たとえ運ばれてきた料理がゲロマズで、運んできたオタクの顔が気持ち悪かったとしても、客を喜ばせようとしてニチャついていたのであれば邪険にはしてほしくないと思う。「まずい」と言う人もいれば、「独特な味付けですね」と言う人もいるだろうしそこに関しては人それぞれだと思うが、「顔がニチャついててキモい」という感想はあんまりだろう。せめて料理について感想を述べるべきだと思う。

AIソムニウムファイルという料理は、独特の味付けだけど食後のプリンは最高に美味しかった作品だった。
2作目も今日からスタートします。