劇場版映画大好きポンポさん感想(原作未読)

 

超凄い映画監督(幼女)のアシスタントで経験を積む勉強熱心というか映画or無みたいな終わっとるナード主人公が、無茶ぶり気味に監督を任せられる事になり、映画を作るという作品。
”アニメ映画である必要性”を体現した映画で、かわいいキャラクターがドゥルンドゥルン動き、スピーディーで退屈しない展開と成長とカタルシスがある、理想的な映画だったと思う。
絵は奇麗だし配役に工夫があるし、作品のテーマと被るところで極限まで無駄が省いてあったのが印象的。

 

 面白かったです。絶対に見てほしい。

ちなみに原作未読なのでこれから読みます。

 

以下ネタバレあり

 

創作って大変なんだよ。という話なんだけど、軽快で説教臭くないのが凄かった。

劇中劇と主人公達と自分という三重構造になっていて、それが見事にギミックとして成立していたという事。”MEISTER”と、”映画大好きポンポさん”を同時に視聴しながら、自分の人生を重ねられるという構造が巧み。

自分も創作者の端くれとして刺さる描写は沢山あったが、モノづくりの大変さを描写するにあたって、”削ること”を主軸にするのは斬新だと思った。作中でポンポさんは「今の世代に2時間以上の集中を強いるのは厳しすぎる」とジーンに釘を刺し、ジーンはそれを忠実にやりとげる。何故ならポンポさんに楽しんでもらいたい映画だから。というのがアツかったですね。ジーン自身は映画を何時間でも見れるのに、あんなに良い素材が沢山ある状態で切り捨てなければいけないという”痛み”は、創作をやらない視聴者にも伝わったのではないかと思う。
削る事以外に、金銭や健康の問題にも触れていたけど、ありがちなシーンをテンポ良く終わらせていくので、この作品でも沢山削ったんだろうなという想像が沢山出来て気持ち良かった。

話は逸れるが、自分の好きなゲームというジャンルでも名作と称されるものはほとんどが40時間以上のもので、自分はこれに賛同出来ない感情を常に持ち歩いている。だからこのシーンで前のめりになった。1万円弱という値段で買った場合、それなりに時間を使えないとダメという意見はわかるから映画と同列で語るのは野暮だが、最近はインディーズゲーム市場が安価で短いゲームを沢山出しているので、ゲーム業界もそういった評価をされ始めないかなと願っている。

ジーン監督は資金繰りやスタッフの調整など全てをポンポさんという超人が居る状態で監督に専念していて、凄くうらやましいですね。ヒロインは最初こそぎこちないものの途中から現場にも馴染んで演技も不自由なくこなせていたようだし。

ごちゃごちゃ好きなところを書き連ねたけど、結局のところこの作品が”面白い90分の映画である”という時点で圧倒的に勝利していると思う。映画とポンポさんに最大限のリスペクトをした上で、絶対に途中で飽きさせないという執念を感じるテンポ感だった。

今のところ今年一番のアニメ映画でした。おすすめします。