ブルーアーカイブ カルバノグの兎2章 ネタバレ感想

めちゃくちゃよかった

ネタバレ注意

エデン条約編の味の濃さと比較するとお世辞にも必要とは思えなかったカルバノグの兎一章からは考えられないほどシンプルで力強いシナリオだった。

カヤの懐刀として職務を全うするユキノ率いるFOX、若さもあり自分の正義(と先生)を信じるミヤコ率いるRABBITという、美しくも誰もが予想できるベタな展開が気持ちいい。ブルアカはこういうストレートパンチが本当に上手なゲームだと再確認した。

仲間に気を遣い、黙って離脱するユキノにそれでもついてきてくれるRABBITの皆という構図は予想通りながらアツく楽しいが、FOX側も明らかにカヤの暴走と言える地下鉄爆破作戦に、文句一つ言わずついていく事でユキノへの信頼や絆が垣間見えるのも良い。「鉄床や鎚が何を叩いているのか、考える必要はない」というクルミのセリフは、一見すると妄信、崇拝のようなセリフだが、自分に言い聞かせているようにも感じる。リーダーとのこれまでの時間があったからこそ、今の自分がいる。キャラクターの背景を多く語らずとも、少しのセリフから沢山の存在しないシーンが浮かぶのがこのゲームの優れたところだ。

ユキノがミヤコに「駅に爆弾を仕掛け起爆する。名声は後からついてくる」と語るシーンは悲痛で、先輩として手本としてリーダーとして……SRTの伝統を守るため、気丈に振舞ってはいるが、作戦を止められない自分を誰か止めてくれと懇願するような痛々しいセリフが続く。自分を叱責してほしいかのようなユキノに、ミヤコが「先輩たちの教え通り、自分の正義を信じる」と啖呵を切るシーンは名シーンの多いブルアカでも屈指の美しさであった。この時のユキノの心中を想像しただけで涙が出そうになる。

そして今回のストーリーで一番輝いていたのはカンナ局長だ。

特殊部隊に対する公安のトップ。大人に最も近い存在として描写され、最終章で無茶しすぎた代償として今回かなり落ちぶれた状態で登場する彼女が、部下のキリノに勇気付けられるシーンが本当に良い。そして、一笑もせず「当たり前だ」とばかりに治安維持に戻っていくカッコよさ。この後の活躍シーンも含め、彼女のファンは相当増えたのではないだろうか。無論私もその一人である。

しかし、カヤがここまでポンコツとして描写されるとは思わなかった。

カヤも一人の生徒として救われ無くてはならない以上、ミカよりも単純に醜悪な悪役として描かれている彼女をどうやって上げるのか、何か策があるのだろうか。このゲームはゲヘナのマコトのようにバカすぎるキャラは救わなくて良いという考えがあるようなのでかなり不安である。誰かカヤを救ってくれ。彼女は少し、連邦生徒会長の事が好きすぎるだけなのだから。